シルバーブレット
「何?!烏田切に撒かれただと?」



捜索中の志麻の携帯に着信が入ったと思ったら、残念な報告だった。


慌ただしい癒鼬組を、今度こそ蟻一匹でも見逃すまいと張り込んでいた捜査員。


そんな中、烏田切が構成員の隙を窺いながら静かに出ていったので、後をつけていた。


携帯でどこかに電話しながら、烏田切は北へと歩いていく。


人目を避けたかったのか、それとも尾行がバレたのか、はてまた張り込んでいたのが最初から分かっていたのか。


いずれにせよ、路地裏に入られ見失ってしまったのだ。



「張り込みはもういい。とにかく探せ!」



組にいる御方より、出ていった烏田切の方が怪しい。


志麻はそう考え、張り込みより烏田切の捜索を命じた。



「どうかしたんですか?」



志麻の大声を聞いて瀬羅は駆け寄る。



「烏田切まで姿を消しやがった。」


「本当ですか?ますます癒鼬組が怪しくなってきましたね。」


「ああ。蘇芽のところに行った可能性が高い。結灰にも連絡入れとけ。」


「分かりました。」



志麻が初対面より感じていた、刑事の勘は見事に当たっていた。
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