シルバーブレット
「(入口付近に人の気配は無いか。)」



開いている扉の隙間から倉庫の中を覗くも、薄暗く置かれている荷物の影ぐらいしか見えない。



「(中に入るしかねぇな。)」



物音を立てないように慎重に倉庫内へ入り、規則正しく積み上げられた物で身を隠す様に真ん中から進む。



「(やけに段ボールや荷物類が多いな。)」



倉庫内の光景は、どちらかというと個人用というより企業用に近かった。


しかし、個人で大きい荷物を扱っている人も居なくはないし、中身を見るのにも借り主の許可か令状が必要だ。

荷物より春貴と蘇芽を見付けるのが先だと、疑問を頭の隅に追いやる。



「(ん?あれは人か?でも小さいな、人形か?)」



倉庫内の左側の壁際に横たわる人影らしき影。

ただ、大きさがあまりにも小さいので人形かと思うが暗すぎてこの距離では判別出来ない。


しかし、人影の見える壁と煌のいる荷物の間は車2台分ぐらいあり、出てしまうと身を隠す場所が無くなってしまう。



「(仕方がねぇ。他に人の気配もねぇし、確かめてみるしかねぇな。)」



人だった場合に備え、襲われるのを覚悟で人影に近付く。
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