シルバーブレット
「蘇芽……、やっと見付けた。」



もう一人の捜索対象が見付かって笑う煌とは対照的に、角材を降り下ろした蘇芽本人は怯えた表情だ。



「な、なんで……こうも次々と問題が……」


「(問題……?何が問題なんだ?それに何で怯えてる?)」



蘇芽の態度が煌には分からない。



「煌姉ちゃん……」


「心配するな、大丈夫だ。」



後ろにいる春貴は恐怖からか、煌の腕を掴んでいる手が震えている。



「(やべぇな……)」



安心させる為に春貴にああ言ったものの、実際はまずい状況だ。


横たわる春貴に駆け寄った為、煌は必然的にしゃがみ込んだ体勢だ。

振り向いた時も片膝を付いた状態だったので、立っていた蘇芽から降り下ろされた角材の威力は相当なもの。



しかも、この間冬架から受けた傷も治りきってはおらず、傷口が開いたのかその時よりも出血が多いように感じる。


蘇芽の姿も少し霞んでいる。


春貴を抱えつつ入口方向にいる蘇芽をかわして逃げるなど、この状態では不可能だ。
< 84 / 146 >

この作品をシェア

pagetop