シルバーブレット
「(なんとか春貴だけでも逃がしてぇな。見たところ蘇芽は1人のようだし、東に行けば隼弥達もいるから、いけるか…)」



回らない頭で、この状況を打破する方法を考える。

幾多の現場を潜り抜けてきた煌であっても、今の状況は非常に不利だ。


何故なら怪我を負っている上に、今は捜索中心で拳銃携帯命令は出ていない為、煌は武器という武器は持っていないからだ。



それに現役時代ならともかく、今は警察官だ。

被疑者とはいえ、殴るわけにはいかない。



「(拳銃携帯許可、取っとくんだったな…)」



後悔しても後の祭りだ。

春貴を一刻も早く見つけ出そうとそっちに気がいってしまって、そこまで頭が回らなかった。


春貴を守り通すことが出来ないと判断した煌は、自分が囮になって逃がす道を選ぶ。



先程から定期的に鳴っている携帯のバイブレーション。

その向こうにいる仲間達が、この異常に気付いてくれることを信じて。
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