シルバーブレット
「(内輪揉めの理由はこの際置いておいて、この状況どうすりゃあいいんだよ…)」



角材だけならば、素手でも対処できなくはない。

だが、拳銃となれば話は別だ。

遠距離攻撃が出来る拳銃は、近距離のナイフより始末が悪い。


しかも、射程距離内にいるので下手に動けない。



「はじめまして、結灰煌さん。私は、烏田切芹檜と申します。といっても、もうご存知…ですよね?」



「あぁ、もちろんご存知だ。だけど、なんで俺の名前知ってんだ?まぁそれも含めて、銃刀法違反で署まで来てもらおうか。」



強気に出てみるものの、銃口は蘇芽の延長線上にいた煌に向いたままだ。



「そんなに、死に急がなくてもいいではありませんか。余程、あの方の後を追いたいようですね。」


「あの方?」


「ええ。なんていいましたかね……。ああ、そうそう。思い出しました。扇崎!扇崎吉信さんですよ。」



「!なんで、お前の口からおやっさんの名前が出てくる…?」



有力な容疑者候補である烏田切の口から扇崎の名前が出てきたことに、煌は驚き目を見開く。

そして、後を追うという言葉に声は自然と低くなる。
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