シルバーブレット
「同じことを仰ったので。扇崎さんの方は覚せい剤取締法違反でしたけど。」


「証拠があるから言ったんだろ。」


「ええ、まあ。ですが、知られてしまってはこちらとしても不都合でしてね。」



烏田切は困ったように言う。



「大変だったんですよ。事が終わった後にノブから電話もらったので。無能な警察とはいえ、今の技術は侮れませんからね。でもご心配には及びません。なにせ私は参謀。完璧に仕事をこなします。何人たりとも分からないくらいにね。」



恍惚と話す烏田切だが、その内容は簡単に聞き流せるものではない。



「危険な芽は早めに摘んでおくのが私の性分なんですが。私が完璧な計画を立てる前にノブが早まったことをしてくれまして。仕方がなかったのですよ。」



ペラペラと話す烏田切のおかげで、パズルの様にバラバラなピースが組合わさる。



「覚醒剤を知られた。だから、殺した。そういうことだな。」



事件の全容が見えた煌が、怒りを覚えながらも冷静でいられたのは、離すタイミングを失い自身の腕を掴んだままの、震える小さな手のおかげだった。
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