シルバーブレット
「シャブは買って売るもの。それなのに、ノブは手を出して。薬漬けにするのはカモだけで十分事足りるんですよ。」



心底嫌そうに蘇芽を見やる。


扇崎の遺体に覚醒剤が付着していたのは、殺害した蘇芽からのようだ。



「シャブはビジネスです。殺人などビジネスを邪魔するものでしかない。だからそうなる前に消し去る。それもこの世から完全に。私の完璧なビジネスプランにアクシデントは似合いませんから。」



愉快そうに自身の持論を語る烏田切。



「頭はそれが分からない。シャブがどれだけの金を生むのか。組の合併で今までより大量に仕入も出来るようになって、白雪も作らせたのに。表だけでタラタラいくつもの企業を運営して。細々金を回して。それで一体何の得があるというのか!」



覚醒剤の出所が判らなかったのは、仕入が癒鼬組の烏田切で、捌いていたのが猿組だったからの様だ。


そして余程不満が溜まっていたのか、これが烏田切の素なのか。

先程から丁寧な物腰とは打って変わって、口調は荒い。



「金だって、頭がいなきゃ裏ですんなり動かせるのに。普通に経営して、収支報告書作って。ペーパーカンパニーの方がまだマシだ。」
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