シルバーブレット
「大体、仁義だの、人情だの、鬱陶しい。私の頭脳と金があれば何も不自由しないんですよ。」


「出来ないことはないってか?」


「ええ、もちろん。お嬢が頭に惚れなきゃ今頃私が頭になっていたはずなのに。そこだけは計画が狂いました。」



「出来ねぇことあるじゃねーか。」



冷笑気味に煌がそう言った途端、烏田切の表情が変わる。



「ええ。私の人生の計画は台無しです。でも、ここで終わるような計画ではありません。アクシデントは似合いませんが、それを修正して元に戻すことも私には出来るんですよ。」



自信たっぷりにニヤリと笑う烏田切に、嫌な予感がする。



「貴女が私に色々質問したのは時間稼ぎでしょうかねぇ?ノブを探して、サツがウロウロしていましたから。」



煌が逮捕した後、取り調べでいくらでも分かる様なことを長々と聞いていたのは、蘇芽の為だけではない。


春貴を逃がせない状況で頼れるのは、外にいる隼弥だ。


携帯が取れない状況にある、と分かれば何かあったと思ってくれるはずだと考え、烏田切の言う通り時間稼ぎをしていたのだ。
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