氷の魔女とチューリップの塔
「ううっ。お宝を見つけたら一流の杖職人にオーダーメイドを…」
「…下がれ!」
ロゼルがスリサズを背中に庇い、炎の剣の一太刀で、三匹のチノリアゲハを切り捨てた。
が…
その三匹は、花畑を覆い尽くす群れ全体の、ほんの一部に過ぎない…
「…!」
ロゼルの剣は一振りごとに確実にチノリアゲハを捉え、その動きにはわずかな隙も無駄もなく、次々と斬撃が繰り出されていく。
「…!」
しかし魔力の蝶は切り伏せる度に新手が現れ、一向に数を減らさない。
「ロゼルってば何やってんのよっ?
大火炎とかの広範囲攻撃魔法をやればいいでしょっ?」
「…この状況では制御できない!
…君も巻き込まれる!」
「ちょっとぐらい平気よ!
杖なしでもバリアぐらい張れるし!」
「…平気じゃないし、ちょっとじゃ済まないし、杖なしのバリアじゃ持たない!」
「な! 何よ何よ!
あたしだって杖さえあれば…」
けれど肝心の杖は地面に散らかしたままで、その上をチノリアゲハが飛び回っている。
(何とかチョーチョどもの隙を見つけて…)
「前に出るな!」
横から飛んできたチノリアゲハからスリサズを守ろうとして、ロゼルが体勢を崩した。
「嫌っ!」
スリサズがとっさにロゼルを支えようとしたが、それが返って良くなくて、二人は縺れ合って倒れ、ロゼルの肩が塔の扉にぶつかる。
と同時に…
バタンッ!
扉が開き、二人は塔の中に倒れ込んだ。
「何で!?」
叫ぶスリサズの下から這い出し、ロゼルが素早く扉を閉める。
そして辺りを見回して、チノリアゲハが入ってきていないのを確かめる。
「…塔の主が俺達を受け入れてくれたらしいな」
「お姫様は王子様を待ってるんだっけ?
ロゼルってば、どっかの国の王子様だったの?」
「…赤毛なだけだ」
「?」
「…王女を裏切った王子は赤毛だったんだ」
「あんまし嬉しくない話だわね」
「…ああ」
「…下がれ!」
ロゼルがスリサズを背中に庇い、炎の剣の一太刀で、三匹のチノリアゲハを切り捨てた。
が…
その三匹は、花畑を覆い尽くす群れ全体の、ほんの一部に過ぎない…
「…!」
ロゼルの剣は一振りごとに確実にチノリアゲハを捉え、その動きにはわずかな隙も無駄もなく、次々と斬撃が繰り出されていく。
「…!」
しかし魔力の蝶は切り伏せる度に新手が現れ、一向に数を減らさない。
「ロゼルってば何やってんのよっ?
大火炎とかの広範囲攻撃魔法をやればいいでしょっ?」
「…この状況では制御できない!
…君も巻き込まれる!」
「ちょっとぐらい平気よ!
杖なしでもバリアぐらい張れるし!」
「…平気じゃないし、ちょっとじゃ済まないし、杖なしのバリアじゃ持たない!」
「な! 何よ何よ!
あたしだって杖さえあれば…」
けれど肝心の杖は地面に散らかしたままで、その上をチノリアゲハが飛び回っている。
(何とかチョーチョどもの隙を見つけて…)
「前に出るな!」
横から飛んできたチノリアゲハからスリサズを守ろうとして、ロゼルが体勢を崩した。
「嫌っ!」
スリサズがとっさにロゼルを支えようとしたが、それが返って良くなくて、二人は縺れ合って倒れ、ロゼルの肩が塔の扉にぶつかる。
と同時に…
バタンッ!
扉が開き、二人は塔の中に倒れ込んだ。
「何で!?」
叫ぶスリサズの下から這い出し、ロゼルが素早く扉を閉める。
そして辺りを見回して、チノリアゲハが入ってきていないのを確かめる。
「…塔の主が俺達を受け入れてくれたらしいな」
「お姫様は王子様を待ってるんだっけ?
ロゼルってば、どっかの国の王子様だったの?」
「…赤毛なだけだ」
「?」
「…王女を裏切った王子は赤毛だったんだ」
「あんまし嬉しくない話だわね」
「…ああ」