氷の魔女とチューリップの塔
花言葉
「…本気で姫のことが好きだったんだ」
「ロゼル、大丈夫!?
あんた、魅了の魔法で操られて…」
「…闇の魔法使いは、本気で姫のことを愛していた。
…城の人々に助けを求められ、姫の御前に通されるずっと以前から。
…いつも遠くから姫だけを見ていた。
…魔法使いが姫のもとへ通された時、姫はすでにこの世の人ではなかったけれど」
「何でロゼルにそんなことがわかるの?」
「…塔の外から覗いた時に、闇の魔法使いと話した。
…どういう術かはすぐにわかったから、話しかけたら返事があった」
「なのにあっさり術にかかっちゃったんだ」
「…………」
「いや、そんな、何も膝を抱えてイジケなくってもっ」
うつむくロゼルの手の中で、最初は紫だったチューリップが、赤から黄、白へと色を変えていく。
花言葉は“叶わぬ願い”から“失恋”へ。
「…闇の魔法使いは、姫に触れてもらいたかったんだ。
…自分から触れることはできないから」
「そりゃまあ、ガラスケースなんかになっちゃってたらね」
「…そうじゃなくて。
…ただ勇気がないだけ。
…だから姫の方から触れてもらいたかった。
…だけど姫が手を差し出すのは、婚約者に似た赤毛の男に対してだけ。
…だから闇の魔法使いは赤毛の男を塔に招いた。
…だけど姫が他の男と触れ合うのが許せなくて、自分で招いた人達なのに殺してしまう」
「何それ。バカみたい」
「…そう言うな」
「そりゃーあたしも勇気うんぬんはわかんなくもないけどさ、人生もっと大事にしなくちゃダメでしょ。
自分のも他人のも」
「ロゼル、大丈夫!?
あんた、魅了の魔法で操られて…」
「…闇の魔法使いは、本気で姫のことを愛していた。
…城の人々に助けを求められ、姫の御前に通されるずっと以前から。
…いつも遠くから姫だけを見ていた。
…魔法使いが姫のもとへ通された時、姫はすでにこの世の人ではなかったけれど」
「何でロゼルにそんなことがわかるの?」
「…塔の外から覗いた時に、闇の魔法使いと話した。
…どういう術かはすぐにわかったから、話しかけたら返事があった」
「なのにあっさり術にかかっちゃったんだ」
「…………」
「いや、そんな、何も膝を抱えてイジケなくってもっ」
うつむくロゼルの手の中で、最初は紫だったチューリップが、赤から黄、白へと色を変えていく。
花言葉は“叶わぬ願い”から“失恋”へ。
「…闇の魔法使いは、姫に触れてもらいたかったんだ。
…自分から触れることはできないから」
「そりゃまあ、ガラスケースなんかになっちゃってたらね」
「…そうじゃなくて。
…ただ勇気がないだけ。
…だから姫の方から触れてもらいたかった。
…だけど姫が手を差し出すのは、婚約者に似た赤毛の男に対してだけ。
…だから闇の魔法使いは赤毛の男を塔に招いた。
…だけど姫が他の男と触れ合うのが許せなくて、自分で招いた人達なのに殺してしまう」
「何それ。バカみたい」
「…そう言うな」
「そりゃーあたしも勇気うんぬんはわかんなくもないけどさ、人生もっと大事にしなくちゃダメでしょ。
自分のも他人のも」