その苦くて甘くてしょっぱいけど…
俺にとって恋愛はただただ苦かった。

でも愛でられるだけでその苦味が帳消しになるほど甘い気持ちが胸を満たす。

愛する人はずっと俺の目の前で咲き誇っていた。

でも長い間決して触れることも許されず、

ただその花が開き、咲き誇り、しぼみ、枯れていくのを見続けるしかなかった。

俺の手の中に収めることができた時…

すでにその花は形を変えてしまっていた。

それでも俺はそれが欲しかった。

どうしても、どうしても手に入れたかった。


手に入れれば、人生はバラ色のはずなんだろう?

それなのに俺たちにはそんなことばかりではなかった。


表面上静かに穏やかな日々。

愛おしい彼女の姿。でもどこか愁いを帯びていて…

自分の押し切ったことに自信がなくなる。


そんな時間を過ごすうちに年月が経ち…

妊娠しないことを悩んだ彼女が、俺にも病院ついてきてほしいと言った。

それから2人3脚で歩んでいったが…

瑞希(みずき)が生まれるまで多くの負荷が彼女にかかる。

その後、時間があいたものの奇跡的に自然妊娠して生まれた慈希(いつき)は、

天使の微笑みを浮かべた嵐の火種だった。

それなりに楽しい4人家族の生活を送りながら…

その火種は、時に突然炎を上げ俺たち家族に襲いかかってきた。

子どもも大きくなり、二人だけの生活が始まって…

何があっても俺は、彼女といたいと思う。
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