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授業中
授業中、さっきの由香の言葉が頭に浮かんだ。
「直樹君、絶対陽菜に気あるよ」
ないないないないない!!頭の中で否定する。
私はバカだし、ブスだし・・・。
直樹君には全然釣り合わない、正反対な女。
と思っていると、ふと誰かの視線に気がついた。
パッと後ろを見ると、直樹君と目が合ってしまった。
どうしようかと思って、とっさに二コッと笑うと、直樹君は少し頬を赤くして目をそらしてしまった。
私の頭には『?』が浮かんだまま。
すると、由香がこの様子を見ていたらしく、口パクで何か喋っている。
最初は何言ってるか全然分からなかったけど、よ~く見ていると、「でしょ?」って言っているのが分かった。
・・・いや、ないない!!
私は手を横に振った。
だって。私にはずっと憧れている存在がいるんだもん。
「ヒーロー」。
私はいつもヒーローっていう存在に憧れてた。いつか現れないかなって。幼稚なのは分かっているけど、それでもいつか現れるんじゃないかって。今でも信じているんだ。
由香ちゃんは、もうそんなのに憧れるのはやめなさいって言う。
そんな事をボーッと考えていると。
「じゃあ、吉田。このP93の問題を読め」
「へっ!?はっ・・・はい!!」
ビックリしてとっさに立ち上がったけど・・・。
完璧話聞いてなかった。だって、教科書すら開いてなかったんだもん。
「お前話聞いてなかっただろ!!そのまま立ってろ!!」
「はい・・・・」
パッと由香を見ると、また口パクで何か言ってる。でも、今度はすぐに分かった。
「バ・カ」
バッ・・・バカ!!?ひどいよ、由香・・・・(泣)