二番目の女。



「だよね…。あっ!胡桃!」


パァ、と何かひらめいた顔をした彩海に、ん?と聞くと




「修平の友達の、武っち!今彼女いないらしいし、紹介しよっか?」


『――え、』



武…を?



「いいよね?修平!」



「んー…それは…」



この3人の中で、何も知らないのは彩海だけだ



申し訳ない気持ちになる




「なんでよ?胡桃と武っちお似合いじゃん!」



『やめ――』

「やめろよ」



修平さんの声と言葉によって私の言葉は遮られた



「…なんで?」



彩海は不思議そうに修平さんを見つめた




「……武、胡桃ちゃんをきっと傷つけちゃうから」


『――ッ』





傷つけちゃうのは、傷つけてるのは、修平さんでしょ?




「でも、それでも胡桃ちゃんが武を紹介して欲しいっていうなら、いいけど」



『ッ』


私を見つめる修平さんの瞳は、彩海の時なんかと違くて、冷たくて、何かを見透かしているような――…



「胡桃!大丈夫だよ!武っちいい人なんだからね!」


だからさ!なんて張り切った彩海が、何も知らない彩海がうらやましくなった




『――紹介しなくていいよ』


姉は紹介してほしいと頼むと思ってたらしく目を見開いて唖然としている




「…え、」


『私、彼氏できたの』



その言葉と同時に、修平さんの目が一瞬、見開かれた





『私、今の彼氏に幸せにしてもらうから』


修平さんの目をしっかり見て、言葉を発した








「――ほら、胡桃ちゃん彼氏いるっぽいし、武も他にいるかもしれないし、もういいだろ?」


修平さんが黙って彩海を撫でると、少し納得のいっていなかったようだか渋々と彩海は頷いた





「まあ、ご飯にしよ!私買い出し行ってくるので二人で待ってて下さいねー!」



――待って、それは…




『私が作るよ』


「いいの!胡桃も他の人のご飯ばっかでお姉ちゃんのご飯に恋しくなったでしょ?すぐ買ってくるので10分ちょっと待っててね!」



『え!』



止めようと思ったものの、一度すると決めた彩海はすぐ財布を持ち靴を履き颯爽と外を出て行った




残されたのは




「ふーん、あんな嘘ついちゃって」




―――意地悪な彼と、私
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