二番目の女。







なんだかんだ別れられず、ずるずると引きずった1週間



やっと私の高校も卒業式を迎えた




颯太はもう新しい仕事を見つけて必死に働いているらしい




だから朝は、1人



…今日は仕事が休みらしく、終わったら迎えにくるらしい





ちゃんと、言えるかな?








『うわあ…』


やっぱすごい



卒業式にはどの日にちに学校を通っていた人でも全員ここに集まる


だから朝から人が多くて、多すぎて目がくらんだ




「ねえ」

ぽんぽん、と肩を叩かれて振り向く




金髪に染めた髪を掻きながら見ず知らずの男に声をかけられた



『…なんですか?』





面倒だな





「去年の春の入学式で見て可愛いな、って思ってて…。でも、曜日あわなくて合えなくて、良かったら連絡先教えてくれない?」


ホラ、来た



他の曜日に指定した人と会えるから、皆は新たな出会いを求めてここにやってくる


だから、卒業式――なんてくだらないものでも皆休まずに学校に足を運ぶんだ



『ごめんなさい』

やんわり断って体育館に向かう




こんなに人がいるもんだから席は決まっていない。好きな席に座っていいように無造作に椅子が並べてあるだけだ




人ごみが嫌で、一番後ろの端に腰をおろした




「早く始まらないかなぁ」

「そうだなー」


隣には仲良さそうなカップル



何故1席だけ開けて座ったのだろう、意味がわからないが終わるまで暇なので目を閉じた
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