スレイブプリンセス
そんな事を考えていると、彼の顔が真剣な顔に変わった。
「君も聞いてると思うけど、今日ラスフォールが帰ってきた。もしかしたら、ラスフォールがここに来る確率が高いかもしれない…。」
それは私も考えていた同じこと。
きっとラスフォールはここに来る。
嫌な予感しかしない。
次は声に出して、大丈夫と言えず、頷いて返事をした。
「サン…。もし、またこの前みたいなことになったら笛を吹くんだ。」
「うん。わかってる。」
彼は私に対処方法まで教えてくれた。
なんて、優しいんだろうか。
兵士なのに、ラスフォールの仮嫁でもある私になぜここまで優しくするのだろう。
無関心でも全然いいはずなのに…。
私がまたボーッとしてると彼は私を心配したのか顔を覗いてきた。
「サン、大丈夫?」
そう彼に言われ、我にかえる。
「うん…。」
「本当に?」
「うん。…あの、ね…聞きたいことあるの…。」
彼は首を傾げた。
「何?」
「あなたはなぜここまで私を気にかけてくれるの?あなたはただの兵士でしょう?」
そう言うと、彼は苦笑した。
「ただの兵士か…。まぁ、今はそれでいいか。…俺がサンの事気にしちゃダメなの?」
「う、ううん。むしろ感謝してるわ。あなたがなぜ私にここまでするのかが気になっただけなの。」
「そっか、でも前にも言ったよね。俺は君の事を知ってるって。」
そう言い、彼はまた苦笑する。
「ええ。私はあなたの事も忘れてるんでしょう?」
「そうだね。詳しい事は今には言えないけどね。」
「でも、私あなたに迷惑かけてばかりいるわ。これ以上迷惑はかけたくないの。」