スレイブプリンセス

そう言うと、兵士さんは目を丸くした。

そんなに驚くことなのかな?

「サン…。そんな事考えてたの?」

「う、うん。」

兵士さんは腰を下ろし、ソファに座っている私と目線を合わした。

「俺は迷惑だなんて思っていないよ。俺が好きでやってるんだから。」

「でも…。」

「いいの、サン。それともサンは迷惑だった?」

私は首を横に振る。

「迷惑なんかじゃないよ。さっきも言ったよね、感謝してるって。」

そう言うと、彼はニコッと笑った。

「それじゃあ、お互い様だ。」

「お互い様?」

彼は頷く。

「うん。俺がなぜ君を気にかけるかって話。前もしたからお互い様。」

「あっ、ごめんなさい。私バカみたいよね。同じ事聞くなんて…。」

そう言い、俯くと、彼が私の頭を撫でた。

「ううん、いいんだよ。サンの中ではその疑問が解決してなかったんでしょう?そして、今も。」

私は頷く。

「うん。でもこれは多分私が記憶を戻さないと解決しないんだわ。だから、ごめんなさい。何度も聞いてしまって。」

私は頭を下げた。

「頭を上げて、サン。君が記憶を取り戻すまで俺は君の記憶の手助けを何度だってするから。だから、何度だって同じことを繰り返し聞いてもいいんだよ。」

「それは兵士さんの迷惑にならない?」

そう言うと、彼は頷いてくれた。

「うん、ならない。むしろ頼ってくれた方が嬉しいかな。」

彼はそう言うと微笑した。

「わかった。ありがとう、兵士さん。」

「うん、サンの役に立てて良かったよ。」

すると、微笑んだ顔からまた真剣な顔に変わった。

「多分、もうすぐラスフォールはここにくるはずだ。気をつけるんだよ、サン。」

私は頷く。

「うん…。」

大丈夫とは言い切れないけど、私には兵士さんもついてる。

だからきっと、乗り越えられるわ…。

…いつか、屋敷を出る日もそう遠くはないかもしれない…。

「じゃあ、もう行くよ。」

「あ、ありがとう」

彼はまた私の顔を見て微笑み、部屋から出て行った。



…そういえば、彼…兵士さんの名前聞くの忘れてたわ。

ずっと兵士さんって呼ぶのも失礼よね。

今度会ったとき、聞かなくちゃ…。






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