スレイブプリンセス
そして、また声は途切れた。
頭の中に響く声。これは自分の記憶の一部分だと思った。
だけど、思い出せない自分の記憶に頭が痛くなる。
「おい!サン!大丈夫か?」
またゼンの声で我に戻った。
「あ、はい…。」
「ぼーっとしてること多いぞ、お前。まぁ、それは置いといて…。その髪飾り売るのか?」
「あ……。」
売ることに関して正直忘れていた。
また髪飾りに目を落とす。
「…これは売りません…。」
売ればお金になることは知っている。だけど、これはなぜか売ってはいけない気がしたのと肌身離さず持っていなければいけないと思った。
「そうか!それじゃあ、これがお前の髪の毛のお金だ。」
ゼンは最初から私が髪飾りを売らないとわかっていたような態度を示した。
私はゼンからお金が入った丸い袋を受け取った。
そして、その金額に目を見開いた。
「…!こんなにっ!いいんですか…?」
「あっ!先に言っとくけどな、同情とかそういうのしてねぇからな。すべてこれはお前の髪の色の金額だ。」
「はい…。ありがとうございます。でもこんなには持ってられません。だからゼンに預けてもいいですか?」
今は私は奴隷。奴隷がそんな大金を持ってたら奪われるに決まってる。
そんな事を察したゼンはすぐに承諾してくれた。
「わかった。じゃあ、この袋から使いたいだけ金とっておけ。余りはちゃんと俺が保管しとくから安心しろ。」
「はい。」