スレイブプリンセス
3
失ったもの
時は遡り、二週間前へ戻る。
魔界世界ニアタ。
一つの部屋に漆黒の髪色をもつ男性が倒れていた。
そして、その部屋に入ってきたのは風だった。
ーーー目を覚まして、あなたはあの女にやられるほど弱い人ではないはずよーーー
「うゔっ…」
男性の意識が戻りそうになった。
ーーー私があなたにおまじないをかけてあげましょう。もう操られないようにーーー
ーーーオン・バサラ・タラマキリクーーー
ーーーさぁ、これで大丈夫。早く目を覚まして。大切なものの存在に気付いてーーー
「ゔっ…… 頭が…痛い…。今の声は…?」
漆黒の髪色と赤い瞳を持つ男性は起き上がり周りを見渡す。
しかし、周りには誰もいなかった。
「夢だったのか。」