スレイブプリンセス
魔王の口からこぼれた許嫁という言葉に二人は目を見開く。

「でも、父上!俺にはすでに婚約者がいるはずなんじゃ…。」

「あー、いたなー。セイレリア家の令嬢だったな。でもお前、あちらの令嬢の事好んでなかっただろう。いつも会ったときは嫌な顔ばかりしてたではないか。」

「……ばれてたのか。」

「だから、セイレリア令嬢との婚約は解消だ。それでいいだろう?エデン。」

「はぁ…俺的には婚約解消できて、嬉しいんだが、解消なんてできんのか?父上。」

「何を言う、エデン。私はこの世界の魔王だぞ。魔王の言うことは絶対だ。」

と胸を張って言う魔王。

「それにエデンよ。私が思うに、セイレリア令嬢とイヴ姫、お前はどちらを選ぶと言ったら、お前はイヴ姫を選ぶと思うぞ。」

「なんでそう思うんだ?父上。」

「なんでって、お前、ここまでイヴ姫と手を繋いで来たじゃないか。あんなお前見るの初めてだな。だからだよエデン。」

それを聞いて顔を赤く染めるエデン。

そんなエデンを不思議そうに見るイヴ。

「エデン?どうしたの?顔真っ赤だよ?」

イヴに顔を覗かれて、そっぽを向くエデン。

「なっ、なんでもない!!」

そんな光景を暖かい目で見る魔王。

「フッ、まだイヴ姫にはこの感情は難しいな。イヴ姫お前はエデンとの婚約は認めてくれるか?」

「うん!いいよ!」

即答するイヴに目を見開くエデン。

「お、おい!本当にいいのか!これはお前にとって、生涯で一番大事なことになるんだぞ!」

「うん、私エデンならいいよ」

その言葉を聞いて、また顔が真っ赤になり、そっぽを向く。

「そ、そうか…。」

「では、決まりだな。イヴ姫…いや、イヴこっちに来なさい。」

「はい、魔王様。」

豪華な椅子にすわる魔王に近づく。

「あなたはエデンの婚約者。ということは私の娘と言っても過言ではない。だから私のことは父さんと呼んでほしいんだ」

「へ?いいんですか?」

「あぁ。ほら呼んでみろイヴ。」

「え、えと、父様(とうさま)?」

魔王は柔らかく微笑んで、イヴの頭をなでた。

「それで良い。」
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