スレイブプリンセス
その手紙を読んで、エデンの心は苦しくなる。
「イヴっっ…!俺はお前を守ってあげられなかった…っ!」
エデンの赤い瞳から涙が零れ落ちる。
「イヴっ!イヴっ!なんでこんなことになってしまったんだ…っ!」
そのとき、コンコンとドアのノックの音が聞こえた。
メルかと思ったエデンは入っていいと返事をする。
しかし、開いた扉から現れたのは長い桃色の髪をし、背中に純白の羽をもつ女性だった。
「エデン、久しぶりですわね。」
「母上…っ」
そうこの天使の女性こそが魔王の妻であり王妃でもあるエデンの母親だった。
「ヴァルトバーゼさんからエデンがここにいると聞いて来たんですよ。」
「父上が?」
「ええ、あの人、あなたにきついこと言ったらしいわね。人のこと言えないのにね。」
クスクスと笑いながら言う。
「父上も俺と同じ事をしたことあるんですか?母上」
「ええ、一度だけありますわ。」
「そんなの初めて聞きました。」
「でも、あの方はそれ以来私を守ってくださるわ。きっとエデンには大切な人を守れなかった自分と同じにはなってほしくなかったんでしょうね。」
エデンは俯く。
「でも、俺は結局イヴを守れなかった…。」
「ねぇ、エデン。イヴさんを見せていただけるかしら。」
エデンは頭を上げた。
「あ、はい…。こちらです、母上」
エデンの母アルティナは天使。
天使とは人を癒すことが一番優れている存在。
だからエデンはもしかしたらイヴは生き返るのではないかと少し期待を抱きながら、イヴを見せた。
「…これは…。」
アルティナは目を見開く。
「…あの母上、イヴを癒すことはできるのでしょうか?」
エデンはアルティナに恐る恐る聞く。