スレイブプリンセス

そして、しばらくするとあの兵士が入って来た。

兵士ほ私を見て目を見開き、すぐに私へと近づいた。

「大丈夫?!」

私を起き上げようとした手を振り払ってしまう。

「あ…ごめんなさい…。大丈夫、起きれるから…」

そう言い、私は残った力で起き上がり、ソファーへともたれる。

「いや、大丈夫だよ…。怖かったよね。ごめんね、もっと早く助けてあげられれば、助かったかもしれないのに…。」

彼は俯く。

私はそのとき気づいた。

彼は私を助けてくれたのだと…。

なにも悪くないのになぜそこまで悲しそうな顔をするの?

「ううん…。助けてくれたのよね?……ありがとう…。」

それを聞いた彼は顔を上げた。

「うん…。なぜ、”イヴ”はここにいるの?」

また、イヴ…。

「私は”イヴ”じゃない…。サンよ…。」

「ああ、今はそうだったね、ごめんごめん。」

彼の”イヴ”に関することがよくわからないがとりあえず彼の問いに答える。

答えにはならないかもしれないが…。

「ラスフォールが言うには私はラスフォールに誘拐されたらしいわ。そうして、気づいたら奴隷として屋敷にいたの…。」

それを聞いた兵士の彼は目を見開いた。

「君は誘拐されたのか?!」

「ええ…そうみたい。」

そして、その後、彼は一人でブツブツと呟いていた。

何を言っているのかは聞こえなかった。

「あ、あの…?」

私が彼に声をかけようとした瞬間、彼がこちらを見た。

「ねぇ、君は記憶は思い出してないの?」

彼がそう私に問う。
私はその答えに首を横に振った。

そして、あえて自分の中で響く声については言わなかった。

あれが私の記憶のヒントになるかは確信ができない。

どうせ変だと言われると思ったから。

「そうか…。」

また彼はブツブツと言い出した。
耳をすませると少し彼の言っていることが聞き取れた。

「…それじゃあ、今生きてる記憶より”昔”の記憶を思い出した方が俺にとって有利か?……いや…無理矢理は…”イヴ”が可哀想だ…。」

聞き取れたが何のことだか、まったくわからない。

そして、またでた”イヴ”…。

”イヴ”って本当に誰なの…?



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