スレイブプリンセス

彼は頷いた。

「ああ。そうだよ。それに探し続けたんだから…。」

次々と彼の口から出る言葉によくわからなくなる。

彼が先程言ったように時が経てば、わかるようになるのだろうか…。

そんな考え込む私を見て、彼は苦笑した。

「ごめんね。よくわからないよね。」

「はい…すいません…。」

「いや、いいんだ。次の質問だね。」

私へ頷いた。

「はい、お願いします。」

「俺は君の事を知ってるよ。」

それを聞いた私は目を見開いた。

「それじゃあ、私兵士さんのこと忘れてしまったんですね……。すいません、私駄目ですね。早く記憶を取り戻さなきゃ…。」

「そんなに無理はしないで。それに君が俺を忘れているのはしょうがないことなんだ。君と俺が会ったのは随分昔の事だからね。」

昔でも彼は私の事を覚えていた。

だから、思い出せない記憶に苛立ちを感じる。

< 99 / 134 >

この作品をシェア

pagetop