危険なキス
7章 思わぬ再会
先生が辞めて、もう2週間が経った。
あれから何度か先生の携帯へ電話をかけたけど、それに出ることはなかった。
好きとかそういうんじゃなくて
どうしてもやりきれない気分で、自分の中で不完全燃焼だった。
「悔しい……」
最近、そればかり言っていた。
「何が?」
つぶやくあたしに、麻衣子が突っ込んでくる。
「……ううん、なんでもない……」
「あれ?紫乃、時計変えたの?」
「え?あ……うん」
麻衣子は、あたしの腕にかかっている時計を見て驚きの声をあげた。
それもそのはず。
「それって、メンズ物だよね?
もしかして貰いもの?」
あたしの腕には不釣り合いな、少しいかつめの時計だからだ。