危険なキス
「あ、いや……。
家の整理してたら、出てきてさ……
ちょうどあたしの時計が壊れちゃったから、使わせてもらってるだけだよ。
誰のか分からなくて……」
「ふーん」
つまんないの、というような顔をして、麻衣子は唇を尖らせた。
本当のことなんて言えない。
これは、湯浅先生が、あたしの部屋に忘れていったもの。
あたしはなぜか、先生がいつもしていたこの時計を、自分で身につけたくなったのだ。
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