危険なキス
「…っ…」
気が付くと、あたしの唇と先生の唇が重ねられていて、思考回路が停止した。
それは決して深いものではなく、ただ重ねられるだけのキス。
数秒の時間なのに、すごく長い時間に感じた。
ゆっくりと唇を離すと、至近距離のままあたしを見つめ…
そして、
「素直に言えたご褒美」
と、いつもの意地悪な笑みを向けた。
「なっ……」
その笑みに我に返って、すぐに先生から離れる。
「最低!このセクハラ教師!!」
あたしは手の甲で唇をこすると、そう言い捨てて教室を出た。
「おもしれー」
先生のその声だけが最後に聞き取れた。