危険なキス
 


   ***


「おーおー、派手にやってくれてんなー」


紫乃が教室を出て行ったあと、入れ替わるように教室に誰かが入ってきた。

見ると、そこには一人の教員が。


「わり。誰か見てた?」
「いや、俺だけ」


そこにいたのは、俺をこの学校に紹介した、神田雅人だった。

雅人はこの学校の理事長の孫で、俺とは大学が一緒。
そこからいわゆる、悪友という立場でつるんでいる。


「あの子?お前のお気に入り」
「んー…そうなんのかなぁ」


お気に入り、というワードを聞いて、ちょっとだけ首をかしげた。

気に入っているというか、たんにからかうのが面白い。


「だって最初、教師の話を持ちかけたとき、全然乗り気じゃなかったのによ。
 この学校だって分かった瞬間、首を縦に振ったじゃねーか。
 あの子の学校だって分かったからだろ?」

「まあ……」


確かにそれは当たっている。

ここに来れば、いろいろあいつをからかえると思って。
 
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