危険なキス
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「おーおー、派手にやってくれてんなー」
紫乃が教室を出て行ったあと、入れ替わるように教室に誰かが入ってきた。
見ると、そこには一人の教員が。
「わり。誰か見てた?」
「いや、俺だけ」
そこにいたのは、俺をこの学校に紹介した、神田雅人だった。
雅人はこの学校の理事長の孫で、俺とは大学が一緒。
そこからいわゆる、悪友という立場でつるんでいる。
「あの子?お前のお気に入り」
「んー…そうなんのかなぁ」
お気に入り、というワードを聞いて、ちょっとだけ首をかしげた。
気に入っているというか、たんにからかうのが面白い。
「だって最初、教師の話を持ちかけたとき、全然乗り気じゃなかったのによ。
この学校だって分かった瞬間、首を縦に振ったじゃねーか。
あの子の学校だって分かったからだろ?」
「まあ……」
確かにそれは当たっている。
ここに来れば、いろいろあいつをからかえると思って。