危険なキス
「ま、分かってんだったらいいよ。
俺は戻るな」
「ああ」
俺の答えに納得した雅人は、くるりと体を翻して教室を出て行った。
俺はさっきまで紫乃が立っていた場所まで行くと、窓から外を眺めた。
そこには、さっき出て行った紫乃が、門をくぐる姿が。
その姿を見て、思わず笑った。
(あの子?お前のお気に入り)
雅人に言われた言葉を思い出す。
「お気に入りねぇ……」
言葉にしてみても、自嘲するような笑みしか出てこなかった。