危険なキス
「何マジになってんだよ?本気にした?」
「なっ……」
そこにいるのは、もう普段通りの楠木で、本気で困っているあたしを面白そうに笑っている。
あたしはついさっきまで真剣に悩んでいた自分が恥ずかしくなって、爆発してしまいそうだった。
「さ、サイテー!!」
「わりぃって。お前があまりにも困った顔するから、ちょっと俺も焦っちまったじゃん」
「当たり前だよ!!あんたなんか大嫌い!!」
本当に怒りでどうにかなってしまいそうだった。
それと同時に、すごく泣きそうになった。
だって……
楠木にとって、
あたしを好きということは、からかえるぐらいありえないことなんだと思い知らされたから……。