危険なキス
「じゃあ、まだ足りねぇってことかな」
「や…だっ……」
必死に先生の体を押しているはずなのに、相手はビクともしなかった。
「あいつのこと、忘れたいんだろ?」
「……っ…」
下から上目遣いのようにあたしを見つめる先生。
その姿があまりにも色っぽくて、不覚にもドキッとしてしまった。
だけどこのまま先生の思い通りになるのだけは嫌で、あたしはギュッと唇を噛んだ。
「…っ抱かれたからってっ……忘れられるわけないっ!!」
その言葉を言った瞬間、先生の動きが止まった。
「どんなに違う人に抱かれたって……
どんなに相手がカッコイイ人だって……
簡単に、好きになった人のこと、忘れられるわけないじゃないですかっ……」
あたしは、自分でそんな言葉を吐きながら、過去に犯してしまった過ちを悔やんだ。