危険なキス
 
「悲しくて…辛くて……忘れたくて……
 先生に甘えた……。抱いてもらった……」


売り言葉に買い言葉だったかもしれない。
でも挑発したのはあたし。


「確かに、別のことに気が紛れて、思った以上に救われたところもある。
 だけど……」

「……」

「溝が埋まるわけじゃないっ……。
 楠木のこと、忘れられるわけじゃないっ!!」


あたしは涙を堪えながら先生を睨んだ。

少しの時間、沈黙が流れた。
だけどそれを破ったのは先生で、一度ため息を吐くと…


「……はっ、やってらんねぇ」


鼻で笑い、その場から離れた。


「せ…んせ……」
「俺の前で、ほかの男の名前呼ぶとか、マジありえねぇ」
「あ……」


思わず叫んでしまった楠木の名前。

あたしは思わず恥ずかしくなった。
 
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