危険なキス
9章 ありえない高鳴り
「紫乃ー?いい加減起きないと遅刻するわよー?」
朝、なかなかリビングに降りてこないあたしに、下からお母さんが呼ぶ声がする。
あたしはなんとか重たい体を動かし、上半身だけ起き上がった。
……だるい…。
なんだろう…。
今日はやけに体が重くて、やる気が起きない。
比較的、朝は得意なほうで、お母さんが起こす前に起きることがほとんど。
だけど今日は、低血圧な人のように思うように体を動かせない。
絶対知恵熱だ……。
昨日言われた湯浅先生の言葉が、ぐるぐると頭の中を回って結局一晩中考え込んでしまった。
どうにかして、あの人から解放してもらえないだろうか、と……。
だけど、考えれば考えるほど
たどり着く場所は、先生からセクハラを受ける自分……。
そして考えすぎたせいか
どうやら知恵熱におかされてしまったらしい……。