危険なキス
9章 ありえない高鳴り
 
「紫乃ー?いい加減起きないと遅刻するわよー?」


朝、なかなかリビングに降りてこないあたしに、下からお母さんが呼ぶ声がする。
あたしはなんとか重たい体を動かし、上半身だけ起き上がった。


……だるい…。


なんだろう…。
今日はやけに体が重くて、やる気が起きない。


比較的、朝は得意なほうで、お母さんが起こす前に起きることがほとんど。
だけど今日は、低血圧な人のように思うように体を動かせない。


絶対知恵熱だ……。


昨日言われた湯浅先生の言葉が、ぐるぐると頭の中を回って結局一晩中考え込んでしまった。

どうにかして、あの人から解放してもらえないだろうか、と……。

だけど、考えれば考えるほど
たどり着く場所は、先生からセクハラを受ける自分……。


そして考えすぎたせいか
どうやら知恵熱におかされてしまったらしい……。
 
< 157 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop