危険なキス
すっかり板についてきた教師の顔をした湯浅先生が、今日の連絡事項を述べている。
気持ち悪いくらい、みんなしっかり話を聞いていて、ほんと美形とか美人とか得だな……って思った。
そして10分のホームルームは終わった。
ホームルームが終わったと言っても、先生はすぐに教室を出ることはあまりなく、結構ギリギリの時間まで教室にいることが多い。
というより、いさせられるのだ。女子からの質問攻めで。
あたしはそんな風景を流し目で見ながら、ゆっくりと席を立った。
冷たいお茶でも買ってこよ……。
だるいけど、今は体の中に水分を入れたい。
そう思って、一歩踏み出したところだった。
「……っ」
ガタッ…と、思わず近くにあった机によろめく。
あたしは立っていることもままならなくて、その場に倒れこんだ。
「柊っ!!」
思わず、近くにいた楠木が駆けてきた。