危険なキス
ふわっ、と保健室のベッドにおろされ、ようやくこわばっていた緊張が解けた。
だけど保健室の先生は、ちょうど出払っているのか、保健室には誰もいない。
ちょっとだけ、かまえてしまっている自分がいた。
「とりあえず熱計れ」
「……はい」
体温計を渡され、言われるがままにする。
どことなく、先生は怒っているように見えた。
ピピピピ…という電子音が鳴り、体温計を取り出す。
そこに記されている体温を見て、自分でもビックリした。
「何度?」
「いや、あの……」
「貸せ」
「あっ……」
あたしの抵抗はむなしく、あっという間に取られてしまう体温計。
「38.4度」
「……」
「お前、バカだろ」
それを見て、先生は呆れたようなため息をついた。