危険なキス
「すみません……」
「早退な」
「えっ……」
「なんか文句あるのか?」
「……いえ…」
じろっと睨まれ、何も言い返せない。
なんだか今日の先生は、いつもと違った意味で怖い。
「ちょっとここで待ってろ。用意してくる」
「え?」
「家まで送る」
「ええ!?」
先生の提案に、あたしは驚きの声をあげた。
「で、でも先生、授業……」
あたしは早退で帰ったとしても、先生は先生で自分が担当するクラスの授業があるはず。
だけど先生は、
「今日は2時間目まで空き。
送って帰ってくれば間に合う」
「そう、ですか……」
有無を言わさない口調に、あたしはもう頷くしかなかった。