危険なキス
 
「すみません……」
「早退な」
「えっ……」
「なんか文句あるのか?」
「……いえ…」


じろっと睨まれ、何も言い返せない。

なんだか今日の先生は、いつもと違った意味で怖い。


「ちょっとここで待ってろ。用意してくる」
「え?」
「家まで送る」
「ええ!?」


先生の提案に、あたしは驚きの声をあげた。


「で、でも先生、授業……」


あたしは早退で帰ったとしても、先生は先生で自分が担当するクラスの授業があるはず。
だけど先生は、


「今日は2時間目まで空き。
 送って帰ってくれば間に合う」

「そう、ですか……」


有無を言わさない口調に、あたしはもう頷くしかなかった。
 
< 167 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop