危険なキス
 
「なんで無理して来た?」


しばらく無言が続いたあと、先生が口を開いた。
あたしはとっさに傾けていた首を戻し、先生へと目線を向ける。


「いや…まさかここまで熱があるとは思っていなくて……」


本当にそうだった。

確かに朝からだるいとは感じていたけど、微熱程度しかないと思っていたし。


「自分の体のことくらい分かってろ」
「……すみません…」


先生に謝っても仕方のない。
けど、謝らずにはいられなかった。


「先生……怒ってる」
「あ?」


あたしの言葉に、余計に怖い返事をする先生。

一瞬、肩をビクッと震わせた。
 
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