危険なキス
それを聞いて、先生の顔が一瞬ハッとした。
そしてごくわずかだけ、目を泳がせたのをあたしは見逃さなかった。
「な、わけねえだろ。お前みたいな高熱の女が、自分のクラスにいるのが嫌なだけだ」
「……ふふっ…」
「何笑ってんだよ」
「いえ……」
あたしは、少しだけどもって答える先生に、つい笑いが込み上げてしまった。
まさか湯浅先生が、こんなふうにあたしを心配してくれるなんて思ってなかったな……。