危険なキス
「帰るんですか?」
「ああ。そろそろ戻らねぇと、3時間目までに間に合わないしな」
時計を見ると、もうすぐ10時を示す。
確かに今から戻っても、結構いい時間だ。
「じゃあ、ゆっくり休めよ」
「あ、あの……」
先生が帰ってしまう前に、どうしても一言だけ言いたいことがあった。
途中で変態なことをされて、ずっと言いそびれていたけど…
これだけはちゃんと言葉にして伝えたい。
「あり、がとうございました」
あたしは、毛布を口元までかぶって、先生の顔を見つめた。
先生が心配してくれたのは変わりない。
だから心からのお礼を言わなくちゃ…。
「……」
先生は一度ドアへ向けていた体を、再びあたしへと向けた。