危険なキス
 
「もしかしてお前さー」


雅人は俺へと歩みを進めると、顔を覗き込んで言葉を続けた。


「あの子にマジなわけ?」

「は?」


それは、全然予想していなかった言葉だった。


「だっていつも他人の前では完璧な仮面をかぶるお前が、つい冷静さを失ったってことだろ。
 そのお姫様が倒れたってだけで」


冷静さを失った…。

確かにそうだ。


だけど……


「冗談言うなよ」


俺はため息交じりで雅人に返した。
 
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