危険なキス
 
俺が紫乃にマジ?

そんなこと、絶対にありえない。

紫乃がありえない、というわけじゃない。
俺は一人の女だけを好きになるということは絶対にないのだ。


本気で好きになったって、待っているのは辛いことだけ。

本気になればなるほど、自分がバカらしくなってくる。


だからその時の気分で、適当な女を相手するのが一番いい。


ずっとそうやって生きてきたし
これからもその生き方を変えるつもりはない。



(あり、がとうございました)



頬を紅潮させて、上目づかいで俺を見つめた紫乃。

柄にもなく、可愛いと思った。

それだけじゃない。

いつも可愛くねぇ態度ばっかとって、俺を罵倒しまくるくせに
たまにそうやって素直になって、微笑んだり見つめたりする。

それを目の前にすると、つい冷静さを失ってしまうのは事実だった。


「……ガキのくせに…」


俺はやり場のない思いを、ため息とともに吐き出した。
 


   ***
 
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