危険なキス
 
「っ…」


前回とは反対側に、またチクリと痛む。


またつけられている…

先生からのマーキング。


思い切り首元を吸われながら、反対側の耳をいじられゾクリとする。

耳をいじられると、全身から力が抜けるような気がした。


「これが消えたら、またつけるからな」

「……」


顔を離すと、悪戯な笑みを向けてそんなことを言う。

思い切り引っ叩いてやりたいのに、耳をいじられたせいで思うように体に力が入らない。


「先生の……意地悪」


そう言い返すのが精いっぱい。
あたしは必然的に見上げる形になる先生を睨んだ。

不覚にも、耳で感じてしまったせいで、涙が少し溜まった目で……。
 
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