危険なキス
 
先生も我に返ったのか、ずっと攻め続けていた手を緩める。

それと同時に、あたしはすぐに開かれたワイシャツを自分の手で押さえた。


「……わりぃ」


先生はバツが悪そうに視線を逸らすと、あたしから離れる。


「あ、たし……すみませんっ……」


何をどう話したらいいのか分からなくて
あたしは一言先生に謝ると、慌てて準備室を出た。


「はぁっ…はぁっ……」


本鈴が鳴った後だったので、幸いにも廊下には誰もいなく、少し走ったところで乱れた制服を直す。

その間にも、呼吸はなかなか戻らなかった。


走ってきたからじゃない。

さっきの先生からの愛撫に、まだドキドキしているから……。



湯浅先生なんて
仮面男だし、セクハラするし、女たらしだし、
大嫌い。


だけど……


少しずつ感じていた。


自分の中で変わっていく湯浅先生の存在を―――。
  
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