危険なキス
「で?話って何?」
「とぼけんなよ。今朝の続き」
「……そんなの、どうだっていいでしょ」
出た……と、心の中でうんざりした。
確か朝話してた時は、途中で先生に呼ばれたんだっけ。
「お前、付き合ってるやつとかいるんだっけ?」
「いないよ」
「じゃあ、なんでそんなのがあるんだよ!」
少し怒り気味で突っかかってくる楠木に、あたしは戸惑いを感じていた。
確かに、付き合ってる人がいないのに、キスマークなんかついてるのはおかしい。
だからといって、楠木がこんなに怒るのも意味が分からない。
あたしは、まさか相手は湯浅先生だ、と言うわけにもいかず、強硬手段で逃げようと思った。