危険なキス
 
だけど、教室を飛び出した瞬間、思わず体がこわばった。


そこには、湯浅先生が立っていたから……。


「せん…せい……」

「……」


湯浅先生はあたしを見ると、何もアクションせずに先を歩いた。

あたしは思わず、先生の後を追う。


「湯浅先生っ!!」


階段を降り始めたところで、あたしは思わず叫んだ。
それに反応して、先生が振り返る。


「なんですか?柊さん」


仮面をかぶったまま、にこりと微笑む湯浅先生。
そんな姿が悔しくて、あたしはたまらず言葉を続けた。


「なんでっ……
 なんで何も言ってくれないんですか!?」


それを聞いて、先生は微笑んでいた口元を戻した。
 
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