危険なキス
12章 受け入れた自分
  
家に帰ってからも
ずっと頭の中には先生がいた。


本当なら、ずっと好きだった楠木に告白されて舞い上がってもおかしくないのに
あたしの頭の中を占めているのは、大嫌いだったはずの先生。


突き放されて、ズキンと胸が痛くなった。

自分でも、なんでこんなふうに考えているのかも分からない。


その日あたしは
湯浅先生が家庭教師を辞めた日のように
一切勉強が手につかない夜となっていた。





次の日、いつも通りの朝は来て
あたしは重たい体を引きずりながら学校へ来た。


本当なら休んでしまいたい。

いろいろなことから逃げてしまいたい。


だけどそこまでする勇気もなく、あたしは学校へと来てしまった。
  
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