危険なキス
 
「おはよっ」
「麻衣子、……おはよ」


昇降口で上履きに履き替えていると、ちょうど麻衣子も登校してきた。

麻衣子の顔を見た瞬間、昨日の楠木の言葉を思い出して、なんだかとても後ろめたい気持ちになった。


「あのね、紫乃……」
「何?」
「今日のお昼……外で食べない?」


季節はもう初夏。

今日も暑いくらいの天気に、そんな提案をしてくる麻衣子。


あたしは瞬時に悟った。

そして……


「……うん」


その提案に、一言頷いた。
 
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