危険なキス
「この質問は…あたしが拓也と付き合う前にも何度か聞いたこと、だよね。
だけどそのたびに、紫乃は拓也のことはなんとも思ってない、って言ってた。
だからあたしも、その言葉を信じて、紫乃に協力して…ってお願いしたの」
「うん……」
そう。
麻衣子は何も間違っていない。
あたしが麻衣子に嘘をついたんだから……。
「でもね……
今になってよく考えてみた。
もしかして……紫乃はあたしよりも先に、拓也のことが好きだったんじゃないのかな……って」
麻衣子はベンチから立ち上がると、あたしに背を向けたまま言葉を続けた。