危険なキス
 
「紫乃って、そういうところは絶対に黙秘してそうだし。
 それに……優しいから……」


顔だけこっちに向けて、うっすら笑いかける麻衣子。
あたしは何も返せず、ただ麻衣子の顔を見返していた。


「きっと紫乃は、あたしが拓也のことを好きかもしれない、って感づいて……
 それであたしには絶対に言わないって思ったんじゃないの?」

「……」

「紫乃……」


麻衣子は体もこっちに向けると、また真剣な表情に戻った。
 
< 222 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop