危険なキス
「紫乃って、そういうところは絶対に黙秘してそうだし。
それに……優しいから……」
顔だけこっちに向けて、うっすら笑いかける麻衣子。
あたしは何も返せず、ただ麻衣子の顔を見返していた。
「きっと紫乃は、あたしが拓也のことを好きかもしれない、って感づいて……
それであたしには絶対に言わないって思ったんじゃないの?」
「……」
「紫乃……」
麻衣子は体もこっちに向けると、また真剣な表情に戻った。