危険なキス
楠木に失恋して、どうしようもなく悲しくなっていたけど
でもいつも、先生が気を紛らわせてくれていた。
(忘れさせてやろうか?)
あながち、間違ってなかったんだね……。
今になって、そのことに気が付いた。
だけど、予想だにしていなかった楠木からの告白。
麻衣子からの応援……。
あたしは……
その時、後ろから誰かが教室に入ってくる気配がした。
あたしはそれが瞬時に麻衣子と思い、後ろへ振り返る。
「もー、遅い……」
文句をいっぱい言ってやろうと思って振り返ったそこには
麻衣子じゃない。
「……まだ帰ってなかったんですね」
先生だった……。