危険なキス
 
「それじゃあ、さよなら。柊さん」


先生はまたにこりと笑うと、教室を出ていく。

今度はもう引き留められなかった。



「な…にそれ……」


先生に、そんな言葉を言われ、すごく悔しかった。


ただの生徒……

そう、みんなと同じ……。


だけど、それを悔しいと思っている自分のほうが悔しかった。



そうだよ。
もうこれからは、先生にセクハラを受けなくて済む。

無理やりされるキスも
意味の分からないマーキングも
恥ずかしくて仕方のない、体を見られることも

もう全部されないで済む。


だから喜ばなくちゃ……


なのに……



「……っ…」



どうして涙が溢れてくるんだろう……。
 
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