危険なキス
 
こんな女たらしで、そのうえカッコイイ人のご褒美といえば、絶対にキスとか抱きしめるとか、そういうことに決まっている。

あたしは瞬時に察して、手に持っていた答案用紙を自分の口元に持っていったのだ。


「なんか、すげームカつく」
「キス。拒まれたこと、ないんじゃないですか?」
「そんなこと……そうかもなあ」


否定しようとしてたけど、思い当たる節がないようで言い換える。

これだから、無駄にカッコイイ人は困る。


「生徒に手を出さないでください」
「ただのご褒美だから、手を出してるつもりねーよ。
 それに」


湯浅先生は、あたしをちょっとだけ小バカにしたような目で笑った。

 
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